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椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』50
子どもと同じ景色を見る

 2024年10月1日

 


カウンセリング室の椎名雄一です。
日々皆さんとメッセージのやりとりをさせていただいたり、カウンセリングをする中で気づいたことや傾向などをこのコーナーでお伝えしています。

カウンセリングをしていて一番重要なのは上手なテクニックや心理療法ではなく
「相談されている方の主観的な景色を一緒に見る」ということです。

例えば
「うちの子は夜遅くまでゲームをしているんです!だから朝起きられなくて」
という保護者と話をしている時には

・親が寝ようとしている時間帯でも部屋でゲームに夢中になってさわいでいる。
・夜中に親がトイレに起きたらまだゲームをやっているようだ。
・朝、起こしに行ったら眠そうでとても起きられそうにない。
・結局学校をまた休むことになった。起きない我が子のために学校に連絡をする。


このような景色が見えてきそうです。

そのお子さんと話をしてみたら
「僕はこれまで一度も友だちができたことがなかったんだ。でも、今やっているオンラインゲームでは一緒にプレイしてくれる友だちが2人できたんだ」

・人生で初めて、友だちと協力し合って、笑い合う体験に夢中になっている
・学校に行けなくなった日。世界中の人から拒絶されているようだったけれど最近変わってきた。何もしたくなかったけれど最近ではゲームのおかげでやる気が出てきた。
・ゲームの中にも期間限定の大会のようなものがあったり、ランキングがあるから「ここまで頑張りたいよね」と友だちと話している。
・ゲームの中にも役割分担とか練習とかマナー、協力とか人のつながりがあって、仲間のために頑張ろうと思うのはとても力が湧いてくる気がする。


そんな景色を見ているかもしれません。

よくある話ですが約20分サイクルのオンラインゲーム(仲間と協力し合う)が始まった瞬間にゲームをやめられるはずがありません。仕事のプロジェクトの最初の自己紹介で離脱するようなものです。20分後には全員が満足して「ひと段落したな」となります。その景色が見えている保護者はその区切りで声をかけます。見えていない保護者は「22時だからやめなさい」というような声がけをしたり、突然WiFiを切ってしまったりします。その22時というのはゲームの一番大事なところかもしれませんね。チーム戦のオンラインゲームではそのせいで全滅したりします。当然、頑張ってあげてきたランキングが下がります。大事な友だちを失うかもしれないということです。

「ゲームをどのように制限した方が良いでしょうか?」
とよく聞かれます。

「なんのゲームですか?」
「わかりません」

これではお子さんを動かすのは難しいですね。
お子さんにとって大事な人間関係や試行錯誤、こだわり、価値観などがわからないのに制限しようとするのは不登校に対して理解がない保護者に「育て方が悪い」「家でダラダラしていていいよね」のような心無い言葉を言われて傷つく場面に似ています。

お子さんと同じ景色を見る。

アドバイスもお説教も心理療法も投薬も、、、同じ景色を見てからにしたいですね。