【学びリンク公式SNS】
フォロー/登録よろしくお願いします!

X(旧Twitter)  Instagram  Facebook  YouTube  LINE 

椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』51
子どもの側に立つほど「痛い」ことに気づく

 2024年11月1日

 


カウンセリング室の椎名雄一です。
日々皆さんとメッセージのやりとりをさせていただいたり、カウンセリングをする中で気づいたことや傾向などをこのコーナーでお伝えしています。

お子さんが不調に悩んでいたり、不登校になった時に「学校に行くべき」という学校の側、社会の側に保護者が立っていると痛みがあまり強くありません。自分自身は社会とつながっていて、それに従わない子どもひとりが対立している図式だからです。

お子さんは「学校を休まざるを得ない理由」があって悩んでいます。

それは人間関係の苦手意識なのかもしれませんし、人生の悩み、自信のなさ、感覚過敏の影響かもしれません。お子さんは悩みと一体化しているので24時間それから逃れることはできませんね。保護者はそれを責める立場にも責められる立場にもなることができます。

不登校の序盤、多くの保護者は「お子さんが悪い」「お子さんを変えるべきだ」と判断して、常識的な社会と一体になって、お子さんを変えようとします。無理やり学校に行かせるというような行動をとりますよね。この時に苦しいのはお子さんがなぜ動いてくれないのか?です。この悩みも相当きついですが、さらにきつい状態が来ます。

不登校の中盤、多くの保護者はお子さんが「不登校せざるを得ない状態」なのだと実感します。これまで足の骨が折れていた我が子を走らせようとしていたことに気づきます。

そうなると今度はお子さんが安心していられる場所、お子さんに対してのサポートをしようと考えます。つまり、社会の側ではなく、お子さんの側に立ちます。

お子さんが歯が痛いからと歯医者の予約をします。
社会の側に立てば予約のドタキャンはあり得ないこと。ドタキャンをして怒られるのはお子さんです。しかし、「そうせざるを得ない」と理解してからは我が子が動けない理由がわかるので、歯医者に掛け合って、どうにか見てもらえないかと相談します。すると歯医者は「ルールですから」と切り捨てるかもしれません。これはお子さんに反発されるよりもさらにつらいことです。親自身も社会から孤立した感覚になりますし、「なんて社会はつめたいんだ」となります。

学校に助けを求めても
「それは家庭の事情ですよね」「授業が遅れてしまうので」と冷たくされることもあります。多くの保護者は「そんな対応はひどい!」と言います。確かにそうです。

ここで気づいていただきたいのは不登校の序盤、多くのご家庭では保護者はその「ひどい」対応を社会の側になってお子さんにやっているのです。お子さんを理解し、お子さんの側に立てば立つほど理不尽な社会を感じます。それは最初からお子さんが訴えていた生きにくさの正体です。

お子さんは最初からその「ひどい」社会に「ひどい」保護者に悩み、ひとりで理解者もなく頑張っていたのではないでしょうか?

お子さんを本気で助けようと社会の側からお子さんの側にポジションを変えるとこれまでお子さんにあたっていた「ひどい仕打ち」が保護者にも当たるようになります。ようやくお子さんの気持ちを実感できる瞬間です。

不登校の終盤、親子で手を取り合って、お子さんを安全なところまで連れてこられれば不登校は終了です。お子さんの近くに行けば行くほど「痛い」と感じるものですがそれが不登校の中盤で起きることですので覚悟を決めて、救助に行ってあげてほしいなと思います。逆に「お子さんが悪い」と社会の側に立って責め続けている人はそろそろお子さんの側に立ってあげてほしいなと思います。