椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』58
親子の会話を再開するコツ
2025年2月28日
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日々皆さんとメッセージのやりとりをさせていただいたり、カウンセリングをする中で気づいたことなどをこのコーナーでお伝えしています。
親子の会話が少なくなると、お互いに気持ちを伝えにくくなり、さらに距離が広がってしまうことがあります。不登校時は特に、会話のハードルが高く感じられることもありますよね!でも、少しの工夫で「話しやすい雰囲気」を作ることができます。今回は、会話をほとんどしていないご家庭向けに、無理なく始められるコツをご紹介します。
1.「今、見えているもの」を話題にする
会話を始める際には、寒さや景色、テレビ番組など、今一緒に見えているものを話題にしてみてください。たとえば、「今日は寒いね」「空がきれいだよ」「この番組、面白そうだね」といった何気ない一言が、心の距離を縮める第一歩になります。
特に、不登校のお子さんは、進路や勉強のような大きなテーマには身構えてしまいがちです。だからこそ、判断や予備知識が必要ない「日常の小さな話題」を選ぶことが大切です。
2.お子さんのペースに合わせる
お子さんがゆっくり話すタイプなら、こちらも焦らずに待ちましょう。一方で、テンポ良く話したいタイプのお子さんには、リズムを合わせると楽しく会話が続きやすくなります。
例えば、反応がゆっくりの場合、「うん、そうだね」と相づちを挟んで、お子さんが自分のペースで話せるように促します。テンポが早い場合には、「それでどうなったの?」と次の話題を引き出すように、テンポ良くやりとりをしてみてください。
3.判断が必要な話題を避ける
「どうするつもり?」「これを選んだらどうなるの?」といった、結論を求める話題は避けるのが無難です。不登校時のお子さんは、物事を決めることに大きなストレスを感じやすいものです。
代わりに、「このテレビのキャラクター、面白いね」といった簡単な感想を心がけましょう。ユーモアを入れられるとなお良いですね。無理に話を深めようとせず、「会話そのものを楽しむ」ことがポイントです。
無理なく始める3つのコツ
1. 短いフレーズから始める
「寒いね」「空がきれいだね」など、シンプルな言葉をかけることからスタートしましょう。
2. 話題を広げすぎない
ひとつの話題を深堀りせず、気軽なやりとりを大切にします。お子さんが話したがらない場合は、それで一旦終了しても構いません。
3. 失敗を気にしない
話しかけても反応が薄いときもありますが、それを気にせず「また次のタイミングで話しかければいい」と軽く考えましょう。
親子の会話は、少しずつでも必ず再開できます。大切なのは「会話を楽しむ」ことです。最初はぎこちなくても、毎日の小さな声かけが、お子さんの心をほぐし、信頼を取り戻すきっかけになります。一緒に、ゆっくりと一歩ずつ進んでいきましょう。