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学びリンクで働く!元不登校・通信制高校卒業生のつぶやき
20:私なりの心・特性との向き合い方② もがいて折り合いがつくまで

 2024年5月15日

 


こんにちは。
学びリンク編集部で働いている、元不登校・通信制高校卒業生の柳野です。

このコラムでは、そんな私が通信制高校の専門出版社である「学びリンク」で働きながら感じたことを紹介します。

前回は、大学4年生で発達障がいとわかった話をしました(第19回:私なりの心・特性との向き合い方① 発達障がいと診断されたのは大学4年生)。就職活動を機に心の不調を感じるようになり、不登校だった中学3年生から約7年ぶりに精神科を受診したところ、「ADHD+ASD」と診断されました。診断された当初はショックで、大人になってからわかった特性をどう捉えたらよいのか、なかなか整理がつきませんでした。

しかし、学びリンクでの取材や合同相談会を通して、特性の捉え方を具体的に知り、自分の特性とも、客観的に向き合えるようになっていきました。そして、幼少期から不登校をくり返していた要因の心の不調には、自分の特性も影響していたのではないか冷静に考えられるようになりました。心の不調をきたしていたのも、ストレスを感じやすかったり、キャパオーバーになりやすかったりする特性があったからかもしれません。

このように今、自分の心と特性に冷静に向き合えるようになったのは、自分なりに、少しずつ、自分の能力や理想、現実との折り合いをつけられるようになったからです。

例えば、その一つが、就職活動です。もともと新聞記者を目指して就職活動をし、インターンをする中で、夜討ち朝駆けなどの緊急性ある対応に耐えられるか、記事を早く書けるか、といった不安が大きくなっていきました。

一方で、学びリンクの仕事は、比較的、先を見通して仕事を進められ、自分の力を発揮していけるのではないかと感じました。実際に、今年で社会人3年目を迎えることができました。

また、通院や薬の服用の経験も、自分の心・特性に対する気持ちと現実との折り合いに繋がったと考えています。以前は、通院や薬の服用を継続しなければならないことを悲観的に捉えていました。しかし、今、仕事をこなせているのは、通院によって定期的に自分を見つめなおす機会があることと、薬のおかげで自分をコントロールしやすくなった効果もあると思います。今では、通院と薬は、私にとって、日常生活を送るために必要な一つと捉えるようになりました。

このように今の私が、自分の心・特性と現実との折り合いをつけられるようになったのも、幼少期から「もがいた経験」をたくさん積み、今に至ったからだと思います。

不登校をくり返す中で、「何でまた動けなくなったのだろう。そういえば、前回もこんなことがあったな」と自分の行動や気持ちを振り返ったり、保健室登校や教育支援センター、山村留学、通信制高校など自分に合う環境を探したりしたことで、自分に向いていることや苦手なこと、自分が安心できる環境を知れたのが大きかったのだと思います。

こう振り返ると、不登校の経験は、自分の心や特性との折り合いをつけられるようになるための「もがき期間」として意味あったように感じます。

さて、3月に、新しい学校の会による「第3回通信制高校卒業生アンケート調査」が発表されました。同会の事務局長を務める、学びリンク代表の山口教雄は、通信制高校卒業後の進路において大きく3つの懸念点があると解説しています(解説記事はこちら)。
➀全日・定時制高校に比べて卒業時「進路未定」率の高さ、②大学、専門学校進学者の退学率の高さ、③①及び②の退学後の「何もしていない」率の高さです。その中で、「卒業後に『何もしていない』というのは、“働く”や“学ぶ”手前でどうすればいいか分からない状態」だとみています。

私は、この調査結果を見る度に、自分も「何もしていない」の一人になっていたかもしれないと思うのです。実際に、大学時代に心の不調を再発した時には、休学もしくは、とりあえず大学は卒業して、しばらくは進路未定で過ごそうと考えていたからです。

その時の私は、「そもそも働くスタートラインにも立てていない」と考えていました。「大学卒業後は、精神的にも経済的にも自立しなければ」と急いで、社会人として生きていくことを完璧に捉えすぎていたのかもしれません。

今、心の不調や特性で将来に不安を感じている人に、「私のように、通信制高校卒業後も、心の不調や自分の特性と長い付き合いになる人もいる。進路が決まるまで時間がかかってもいい。特性や心の病気があっても、働いたっていい。これからも親や病院に頼ったっていい」と伝えたいと思い、今回のコラム「私なりの心・特性との向き合い方」を書いてみました。