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学びリンクで働く!元不登校・通信制高校卒業生のつぶやき
21:身近にいる通信制高校卒業生の5年後、10年後の姿

 2024年6月4日

 


こんにちは。
学びリンク編集部で働いている、元不登校・通信制高校卒業生の柳野です。

このコラムでは、そんな私が通信制高校の専門出版社である「学びリンク」で働きながら感じたことを紹介します。

学びリンクに入社して、3年目を迎えました。やりがいのある仕事をこなす中で、これからの将来をどうしたいのか考え出すタイミングでもあります。そして、つい最近、今後、自分が何をしていきたいのかを気づかされる出来事が重なりました。

3月に開催された、新しい学校の会による『令和5年度教育シンポジウム』で、通信制高校の卒業生・在校生によるパネルディスカッションが行われました。パネリストたちは、「通信制高校の現在と未来」というテーマに沿って、通信制高校に入った経緯や、自分が感じた通信制高校のよさとこれからの課題について、それぞれの思いを述べていました。

登壇した卒業生の中には、私よりも5歳から10歳ほど年上の先輩たちがいました。どの先輩も自分の好きなことややりたいことを体現されていて、私にはとても輝いて見えました。 そんな姿を見て、数年後の自分はこんな先輩たちみたいに活躍できるのか、今の自分を省みる機会となりました。

そして、一人の卒業生が通信制高校の課題について、こう話していました。

卒業生Aさん:他の高校と違って、通信制高校は大学進学や就職の実績が数字として見えてこないのが親御さんや生徒本人の不安になるだろうなと思います。… ただ、通信制高校卒業後の進路での不安点は、むしろ我々のような通信制高校出身者が発信できる場を活かして、通信制高校や母校の魅力を伝えていけるように頑張りたいなと思っています。

その先輩の言葉は、今の私を問いただしているようでした。私は通信制高校卒業生の一人で、しかも通信制高校専門出版社の学びリンク編集部という発信できる側にいるのに、通信制高校卒業後の実態や卒業生の今を伝えられているのか。「これからどうなりたいんだろう」とくすぶっていた自分を目覚めさせてくれた一言でした。

それから、私の母校である通信制高校の卒業生たちと会う機会が重なりました。

ゴールデンウィークには、地元のキャンパスで同級生だった友人2人と会いました。その2人は、高校卒業後もつながりが途絶えなかった唯一の同級生です。

2人は全日制高校から転入してきて、私たちは高校2年の時に出会いました。選択授業の「異文化ゼミ」で一緒になり、仲良くなりました。「志望校合格のために一般選抜で大学に行く」という共通の目標があり、私はこの2人がいてくれたからこそ、大学受験を乗り越えられました。 その当時につくった3人のSNSのグループ名は『お互いを励まし合う会』で、社会人になった今でも連絡を取り合っており、その2人が頑張っているから、私も頑張ろうと思える仲間です。

そのうちの一人は、高校での留学で培った英語と大学で学んだ法律の知識を活かして、今は貿易会社で働いています。もう一人は、心理学を大学院まで学び、公認心理師の資格を取って、放課後等デイサービスに就職しました。

久しぶりにこの3人が揃い、「今こうして社会人になるまで、私たち、本当によくやったよね」とお互いをたたえ合ったのです。「不登校という同じ境遇を経て、通信制高校に出会ったことで今がある」と分かち合える存在がいることで、こんなにもこれまでの自分を肯定できるのだと実感しました。

また、東京では、母校の通信制高校で留学を経験したOBが集まる会に、初めて参加しました。同じ時期に留学をしていた仲間は一人のみで、その他は、初めて知り合う先輩・後輩でした。 大学や専門学校、海外の大学院で学んでいる学生もいれば、IT業界や不動産業界などで働いている社会人もいました。また、高校卒業後の人生もそれぞれ山あり谷ありで、再就職に向けて就労移行支援に通っていたり、家業を継ぐために資格の勉強をしていたりする先輩もいました。

初めて会う人ばかりでしたが、キャンパスは違っても同じ通信制高校を卒業した、同じ先生のもとで留学を経験した共通点があるからこその安心感がありました。

私は、これまで同窓会やOB会などに縁がない人でした。小・中学校では学校に行けていない期間があったため、同級生だけでなく、先輩・後輩との繋がりも途絶えていたからです。

しかし、今回、通信制高校の同級生や先輩・後輩と会ったことで、大人になった今、お互いのこれまでを知った上で話せる関係の大切さや、先輩・後輩と繋がることで感化される経験を実感しました。 通信制高校を選んだそれぞれの理由がある上で、高校生活、卒業後の道を歩み続けている者同士だからこそ、お互いの今を知って、「もうちょっと踏ん張ってみようかな」「私もいつかこうなれるのかな」など希望が見えたり、目標設定がしやすかったりするのではないかと思います。

先日の合同相談会でのコンシェルジュで、ある親御さんから「通信制高校を出たことで将来、不利はあるのか」と質問を受けました。その時、私は、話をこう切り出しました。

私:実は、私、通信制高校出身なんです。

私にとって通信制高校は身近な存在であり、通信制高校出身でも周りと変わらず社会人として生きている人をたくさん知っています。しかし、通信制高校が身近でない人にとっては、「不利」など、ほかの人とは違うイメージを持つのだと改めて気づきました。

同時に、もし卒業生が目の前にいたとしても、自分からそれを主張しなければ、通信制高校出身でも周囲と変わらず生きていることが伝わらないのだと実感しました。

学びリンクでは、合同相談会で通信制高校の在校生や卒業生がボランティアスタッフとして活躍していたり、進路ガイドブックで体験談を掲載したりしています。これから通信制高校を検討するお子さんやその親御さんにとっては、近い将来を想像できるよき先輩の姿です。 しかし、通信制高校卒業後の不安を解消するためには、高校卒業後の就職先での姿や、専門学校や短大・大学を卒業した後の姿を届ける必要があると思います。

先日の5月28日、学びリンクは設立28周年を迎えました。その日、私はふと思い立って、大学時代に初めて代表の山口教雄と面談した時のノートを久しぶりに開きました。そこには、代表の山口が学びリンクを設立するまでの経緯が書かれていました。

社長:学びリンクを起業する前には、総合の調査会社に勤めていたの。そこでは、教育業界や食品業界を担当していて、学校法人や企業のトップや幹部クラスの方々とやり取りをするうちに身近に感じるようになって。自分にも起業できるかもと思ったのがきっかけだった。

学びリンクで働くようになった今私の周りにも、不登校や起立性調節障害などで悩んでいるお子さんを持つ保護者のコミュニティを立ち上げ、運営している先輩たちが身近になりました。 そんな先輩たちのように「通信制高校卒業生で、高校卒業してから5年、10年たった今の気持ちと自分の姿を届けるムーブメントを起こしたい」。そんな新たな目標を見つけた、今日この頃です。