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学びリンクで働く!元不登校・通信制高校卒業生のつぶやき
23:今の自分や将来がわからないからこそ選べる通信制高校・サポート校

 2024年7月1日

 


こんにちは。
学びリンク編集部で働いている、元不登校・通信制高校卒業生の柳野です。

このコラムでは、そんな私が通信制高校の専門出版社である「学びリンク」で働きながら感じたことを紹介します。

2025年4月開校予定の通信制サポート校で、大企業による参入が見られます。「こどもチャレンジ」や「進研ゼミ」などで知られる株式会社ベネッセコーポレーションによる『Be高等学院』と、株式会社NTTドコモからスピンアウトした株式会社RePlayceが運営する『HR高等学院』です。

世の中でよく知られる企業が通信制高校生の支援に踏み出す。これは、不登校に対する世の中の意識がより変わってきている、通信制高校の魅力がより広がってきている証拠だと、不登校経験者・通信制高校卒業生の一人として捉えます。そして、多様な子どもたちに向き合ってくれる大人が増えているのだと感じます。

この2つのサポート校で、私が特に魅力を感じたところは、“働く将来を見据えた学び”です。

Be高等学院では、自分のやりたいことを見つける『みらい発見プログラム』が設定されています。そのプログラムの一つに、自分発見コーチや仲間と対話しながら、自分の好きなことや大切にしている価値観などの自己理解を深めていく時間があります。そして、そのプログラムで気づいた興味関心を深める授業やオンライン教材、インターンシップなどが充実しています。

また、HR高等学院では、さまざまな業界で働いている社会人講師とともに行うキャリア探究に力を入れます。中高生にとって身近な大人となると、家族や親戚、学校や塾の先生など限られています。実際に、株式会社RePlayceが全国の中高生を対象に実施した「学校生活・キャリア教育に関わる意識調査」では、家族や親戚、学校関係者以外の大人に進路を相談できる中高生は5.5%という結果でした。HR高等学院ではその状況に課題意識を持ち、カリキュラムに反映させています。

通信制コンシェルジュとして学校選びの相談にのっていてよくある声が、「やりたいこととかない」「学校で学びたいと思うほど好きなことではない」「高校卒業後のことはまだわからない」「通信制高校だと、やっぱり将来に不利なのですか」などです。

来年4月に開校するこの2つのサポート校は、これらの悩みや不安に向き合って、将来、自分の道を進むヒントを与えてくれる教育機関だと思います。

また、HR高等学院の担当者は、通信制高校の学歴について、こう言います。

担当者:通信制高校を出たことは、ポジティブでもネガティブでもないのです。就職活動で学歴フィルターがあると言われる一方で、そもそも学歴をかくして採用活動を行う企業もあります。企業にとっては重要なのは学歴ではなく、その人が何を経験し、そこから何を学んだかなのです。

自分自身の就職活動を振り返って、本当にその通りだと身に染みた言葉でした。なぜなら、度々、反省することがあるからです。それは、不登校だった経験や通信制高校の道に進んだことに対してネガティブに捉えているのは、誰よりも自分自身だったということです。例えば、就職活動で自分の強みややりたいことを整理する自己分析で、小・中学校時代の質問があると勝手に落ち込んでしまったり、自分を否定してしまったりすることがありました。また、選考がうまく進まない原因を、本当はPRの仕方が悪いのに、「不登校や通信制高校生だったからだ」と、思ってしまうこともありました。

だからこそ、今回の2つのサポート校のように、自己理解を深める中で、視点を変えてくれたり、新たな引き出しをアドバイスしてくれたりするプロの先生がいることは貴重だと考えます。また、私自身、高校生のうちに、いろんな業界で働いている社会人と話して、「働くとは何なのか」「大人って実際どうなのか」と知れたらよかったなと思うのです。

また、親御さんが将来に不安を抱くのは、今、自分の子どもが学校に行けていない状況下で、次の進学先となる高校のことがわからない、そんな状況でもっと先の将来なんて想像できない、というのが実情だと思います。私の母も、こう言っていました。

母:中学3年生の夏休み明けに、あなたが自殺未遂をして救急病院から退院できると思ったら、精神科病院に転院して入院となった時は、同級生と一緒のタイミングで、もう高校受験できないと思ったの(関連コラム:第13回 不登校の経験が教えてくれたこと)。結局、全日制高校の受験はドタキャンだったしね。でも、通信制高校と出会って、元気になっていった。それでも、高校卒業後、四年制の大学には入れるとしても続かないと思っていたから、地元の短大で2年間ならと考えていたの。そして、もっと学びたいとなったら四年制の大学に編入する方法もあるし。

この話を聞いた私は驚きで、つい笑ってしまいました。なぜなら、家族や親戚はみんな四年制大学に進んでいたので、勝手に自分も四年制大学に行くものだと思っていたからです。母は、周りの目や、もともとあったであろう理想の私ではなくて、その当時の私とちゃんと向き合い、無理なく、自分のペースで進める道を考えていてくれていたのだと実感しました。

私自身、中学3年生の高校受験時を振り返ると、先なんて見えてなく、行き当たりばったりの進路選択でした。そして、今、「自分のことがわからない」「将来なんて想像できない」からこそ選べる、通信制高校・サポート校があることに期待を感じています。