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学びリンクで働く!元不登校・通信制高校卒業生のつぶやき
25:ぼそっと気持ちをつぶやいて

 2024年8月30日

 


こんにちは。
学びリンク編集部で働いている、元不登校・通信制高校卒業生の柳野です。

このコラムでは、そんな私が通信制高校の専門出版社である「学びリンク」で働きながら感じたことを紹介します。

昨年に引き続き、2回目の開催となった『不登校生動画甲子園2024』の授賞式に、今年も取材に行ってきました(取材記事はこちら)

220本の応募の中から、「最優秀作品賞」「アンバサダークリエイター賞」「審査員特別賞」「佳作」の計32作品が選出。子どもたちが最も悩みを抱えやすい夏休み明けのこの時期に、その思いがわかる不登校経験者が動画にそれぞれの思いをのせて届けました。

受賞式後の囲み取材で、審査委員長を務めた中川翔子さんは、自身の子どもの頃の夏休みについて、こう振り返りました。

私自身も学校に行けなかったこと、言われて傷ついた言葉だったり、またあんな思いをしないといけないのかなと反芻してしまったり、夏休みは学校に行かない、自分の部屋の中にいる時だからこそ、どんどん自分を改めて反芻して、傷つけてしまった。生きるのが苦しくなって、生きるのをやめようとしてしまった瞬間がいくつもありました。

この言葉を聞いて、「ああ、そうだ。私もあの時、反芻してしまっていたのか」と気づかされました。

あの時とは、私が中学3年生だった夏休み明けのことです。当時、夏休み中に抱いた不安がありながらも、ぐるぐるぐるぐる反芻してしまい、自ら命を絶とうとしたことがありました。(関連コラム:第13回 不登校の経験が教えてくれたこと)

私は、中学1年で不登校になり、中学2年から山村留学を利用して、親元から離れ、自然豊かな島の学校に転校しました。環境が変わったことで安心して、楽しく学校生活を送っていました。長期休暇は親元で過ごすことになっており、中学3年の夏休みも地元で過ごしていました。

高校受験の夏ということで、志望していた全日制高校のオープンキャンパスに参加しました。見学は学校ごとにグループで分けられ、一人で参加した私は他校の生徒と一緒に周りました。この時になって小規模の中学から高校受験する現実を知り、「入学しても誰も知らない人ばかりで大丈夫かな」と不安になったのです。

そんな時に、「地元の中学に戻った方がいいのかな」と思い始めた出来事がありました。心友が通っている塾で模試を受けた時のことです。そこには、地元の同級生も多くいたのですが、意外と平気だったのです。地元の中学に通えていた頃と変わらず話ができて、「今ならまた通えるかも」と思ったのです。
また、「やっぱり、受験勉強を一緒にできる仲間がいるといいな」と感じたのです。島の学校では同級生が誰もいなく、一人で受験勉強を乗り越えなければならなかったからです。

夏休みのこの2つの出来事を通して、私は「中学卒業まで山村留学先で過ごす」という選択が正しかったのか、迷いが出てきてしまいました。でも、山村留学をしたことで、また学校にも通えるようになり、かけがえのない経験と出会いがあったからこそ、卒業という形で恩返しをしたいと考えていました。「やっぱり、最後までやり遂げたい」と思いなおし、2学期の始業式に合わせて島に戻りました。

島では塾がない代わり、受験生は放課後、学校に残って受験勉強することになっていました。私は一人、教室で勉強する中で孤独を感じ、「これから卒業までやり遂げられるのかな」と不安が募っていきました。

9月が始まって最初の週末、用事があり、また地元に戻った日がありました。結局、その日を境に、私はまた不登校になってしまったのです。

学校を休み始めた私は、「これからどうしよう…」とぐるぐるぐるぐると考えてばかりでした。

このまま島に帰らなかったら、島のみんなにも申し訳ない…
でも、島の学校のままだと受験が不安だし、一人でつらい
地元の中学に戻ったとしても、また行けなくなったらどうしよう…
この気持ちを言ったら、家族はがっかりするだろうな
“今度こそ変わりたい”と思って山村留学を決めたくせに、また学校に行けなくなっちゃった


「ああ、もうだめだ」と思っての行動でした。

この中学3年の夏休み明けの出来事をここまで整理できるようになったのは、大人になった今だからです。その当時は、漠然とした不安や孤独は感じられたものの、どうしてそう感じるのか理解できていませんでした。

今、夏休み明けのこれからどうしようと悩んでいる子どもたちも、それぞれ経緯は違えど、同じような状況なのではないでしょうか。

「学校に行きたくないな」「つらいな」「なんかはらはらするな」など感じることはできても、その理由をうまく説明できないため言い出せずにいるのではないかと思います。
そして、ただ感じていることを親に言ったら、「なんて言われるんだろう」「がっかりさせてしまうのではないか」「怒られてしまうのではないか」ともがいているのかもしれません。

今の自分だったら、あの時、どうしたか。自分が感じている気持ちをぼそっと言えばよかった、「自分が何かしそうで怖いから、そばにいて」と頼めばよかった、と思います。