学びリンクで働く!元不登校・通信制高校卒業生のつぶやき
26:生きていく上で必要なストッパー
こんにちは。
学びリンク編集部で働いている、元不登校・通信制高校卒業生の柳野です。
このコラムでは、そんな私が通信制高校の専門出版社である「学びリンク」で働きながら感じたことを紹介します。
夏休みが明けてから1ヶ月が経ちました。夏休み明けから学校に行けなくなった、変わらず不登校のままなど状況はそれぞれだと思いますが、少しでも心安らかに休める環境にいることを願います。
前回のコラム(第25回:ぼそっと気持ちをつぶやいて)では、私が中学3年生だった当時の夏休み明けの心境を振り返りました。
当時の私と同じように、ここ1ヶ月で、自ら命を断とうか悩んだ方もいるでしょう。
結局、当時の私は行動に移してしまい、救命救急センターに運ばれました。その後、入院施設のある精神科病院で2ヶ月ほど過ごしました。
精神科で入院と聞くと、怖いイメージを持たれる方もいるでしょう。しかし、私にとっての入院生活は、無になって、心置きなくゆっくり休めた日々でした。
私が過ごしたところは閉鎖病棟で、出入り口は二重扉で施錠。自由に外出はできませんでした。しかし、中に入ると、広い食堂があり、数センチしか開けられませんが窓で囲まれており、オープンな雰囲気でした。
患者さんは30〜40代が多く、中学生は私一人でしたが、温かく迎え入れてくれました。
入院初日にご飯を食べていると、同じ机に座った方が「どこからきたの?」と話しかけてきました。転院してきたことを伝えると、「私は〇〇病院からだよ」と、病棟あるある話を教えてくれました。
話を聞いていると、これは、よく道端で話している世間話が好きな地域の方々と変わらないなと、印象を受けたことを覚えています。
その方のお話では、みな入院せざるをえない事情がありながらも、自分には治療が必要なのだと受けとめ、淡々と日々を過ごしている様子がわかりました。
また、面会にきた家族と話している病棟の人たちを見かけた時、入院患者の一面だけでなく、ある子どものお父さん、お母さんでもある一面が垣間見えることがありました。
そんな同じ病棟の人たちと一緒に過ごす中で、私は、もうちょっと先を信じてみてもいいかなと思い始めました。
自分が大人になってから、もしまた悩んでどうしようもなくなった時に、入院という選択肢があること。病気や障害などとつきあいながら、これからの日々を過ごしていく道があること。それらを入院生活を通して教えてもらいました。
中学3年生の時に、これらを実感できたことは今の自分にとって大きいです。
また、中学3年の夏休み明けから入院生活までの経験は、今を生きていく上で必要なストッパーにもなっていると感じます。
「死にたい」「いなくなりたい」「もう人生やめたい」などの感情が身近な人はいるでしょう。そして、その感情は、日によって、時々によって、大きくなったり、小さくなったりするものなのかなと思います。
私にとって、中学3年の経験は、そんな感情を収めるストッパーなのです。
でも、もし、当時の行動で自分が命を落としていたらと考えると、この経験をして“よかった”と言い難いのです。それくらい、今は、命が尊いものだと感じています。